「柴犬を自宅でシャンプーしたいけれど、嫌がるし、抜け毛もすごくて、いつもぐったりしてしまう」——そんな悩みを持つ飼い主さんは、本当に多いです。
柴犬は、犬の中でもシャンプーやドライヤーが苦手な子が多い犬種です。さらにダブルコートで毛が密に生えているため、抜け毛の処理や乾かし方にコツが要ります。やり方を間違えると、半乾きで皮膚トラブルを招いたり、無理をさせてシャンプー嫌いがさらに悪化したりすることも少なくありません。
この記事では、トリマー歴18年の現役トリマーが、柴犬の自宅シャンプーを「その子に負担をかけずに」進めるための実践的なコツを、現場の視点でお伝えします。換毛期の抜け毛処理、嫌がる子への対処、必要な道具、シャンプーの頻度まで——読み終えるころには、自宅でやるべきこと・無理をしないラインがはっきり見えるはずです。
この記事の結論
- 柴犬の自宅シャンプーは可能。ただし「シャンプー前の抜け毛処理」と「根元まで完全に乾かすこと」が重要
- 頻度の目安は月1回。皮膚が正常な子なら2週間に1回でも可能(洗いすぎは皮脂を取りすぎるので注意)
- 換毛期はシャンプー前にアンダーコートを取っておくと、乾かす時間が大きく短くなる
- 柴犬はシャンプー・ドライヤーが苦手な子が多い。嫌がる子に無理をさせると、シャンプー嫌いが悪化する
- 自宅で難しいと感じたら、トリミングサロンに任せるか、トリミング教室でその子に合ったやり方を学ぶのがおすすめ
この記事を書いた人
本間 桂子(ほんま けいこ)
DOG SALON FREESIA オーナートリマー
トリマー歴18年。2014年に和歌山でトリミングサロンを開業し、2021年から東京・世田谷区駒沢でDOG SALON FREESIAを運営。動物病院での勤務経験もあり、皮膚や健康面にも配慮したお手入れを得意とする。わんちゃんにとって居心地の良い空間と、写真館クオリティのお写真を大切にしています。これまで数多くの犬を担当し、一頭一頭に合わせたお手入れを現場で重ねてきました。本記事は、サロンと教室で実際に飼い主さんからいただく相談をもとに執筆しています。
柴犬の自宅シャンプーのやり方|基本の流れ
まず全体像です。柴犬の自宅シャンプーは、大きく次の6ステップで進みます。それぞれの詳しいコツは後半で解説します。
- シャンプー前に抜け毛(アンダーコート)を取る — ここを丁寧にやると乾燥が劇的に楽になります
- 耳に水が入らないように濡らす — 立ち耳の柴犬は特に注意
- 皮膚までしっかり洗う
- シャンプー剤が残らないようにすすぐ — すすぎ残しは皮膚トラブルの原因
- バスタオルでしっかり水分を取る — ドライヤー時間を左右する最大のポイント
- 根元まで完全に乾かす — 半乾きはNG。ただし嫌がる子に無理は禁物
所要時間は、自宅でシャンプーとブローだけでも90分〜120分ほどが目安です。参考までに、サロンで爪切り・足裏の処理・耳掃除・シャンプーブローまで一通り行っても90〜120分ほど。それと同じくらいの時間が、自宅ではシャンプーとブローだけでかかると考えると、柴犬の乾かしにくさが分かると思います。時間に余裕のあるときに取り組んでください。
柴犬の自宅シャンプーで知っておきたいこと
柴犬はシャンプー・ドライヤーが苦手な子が多い
まず前提として、柴犬は猫のように水やシャワーを嫌がる子が多い犬種です。これは性格的にデリケートな子が多いことも関係していて、トリマーから見ても「実は扱いが難しい犬種」に入ります。
特に注意したいのが立ち耳です。耳が立っているぶん、シャワーのときに耳の中へ水が入りやすく、ドライヤーの温風や音も嫌がりやすい。この「耳まわり」をうまく回避してあげるだけでも、シャンプー・ドライヤー嫌いになる確率を少しでも下げることができます。
ただ正直にお伝えすると、こうした工夫をしても、シャンプーやドライヤーが苦手になってしまう子は一定数います。「絶対に嫌いにさせない方法」は存在しません。だからこそ、無理をさせないという姿勢が何より大切になります。
最大の悩みは「抜け毛」——ダブルコートという特徴
柴犬の飼い主さんから最も多い悩みが、抜け毛です。柴犬はチワワやダックスフンドのようなシングルコートの犬種と違い、ダブルコートで毛が密に生えています。そのぶん乾かしにくく、シャンプーにも時間がかかります。
ここが重要なのですが、抜け毛(アンダーコート)が残ったままだと毛の根元まで風が届かず、乾かす時間が余計にかかります。乾きにくい→時間がかかる→犬のストレスが増える、という悪循環に陥りやすいのです。
だからこそ、抜け毛処理は「面倒な前準備」ではなく、シャンプーとドライヤーを楽にするための一番のコツだと考えてください。
柴犬の自宅シャンプーに必要な道具
最低限そろえたいもの
1. トリミングテーブル(アーム・紐付き)
これは「あると便利」ではなく必須です。犬が自由に動ける状態では制御ができず、安全に作業できません。折りたたみ式でコンパクトに収納できるタイプもあります。
必ず首をつなぐアームと紐が付いたものを選んでください。これは飛び降り防止のためです。柴犬の体重で飛び降りると、骨折や脱臼のリスクがあります。
⚠️ テーブルの注意点
紐をつけていても、人は必ずそばにいてください。紐があっても飛び降りようとする子はいます。紐をつけたまま飛び降りるとテーブルごと倒れて、かえって危険です。「つないでいるから目を離してOK」ではありません。
2. ディシェッダー(抜け毛処理用の道具)
換毛期のアンダーコートを取り除くための道具です。定期的に使ってあげることで、抜け毛が減り、乾く時間も短くなります。
3. バスタオル(2枚以上)
ドライヤー時間を短縮する最大のポイントが、実はタオルドライです。詳しくは手順で説明します。
4. シャンプー剤
皮膚がデリケートな子はシャンプー剤が合わないこともあります。その子に合うものを探してあげることも大切です(選び方は後述)。
あると便利なもの
ブロワー:Amazonなどで販売されている、強い風で水分を飛ばす道具です。ブローの時間を大幅に短縮できます。ただし大きな音が出るので、音が苦手な子には向かないこともあります。
意外なメリットとして、人用ドライヤーより温度を調整しやすい点があります。人用ドライヤーは温度が熱すぎることが多く、その点ブロワーのほうが扱いやすかったりします。
スヌード(耳まわりを覆う筒状の布):耳に温風が当たりにくくなり、音も軽減されます。さらに、巻いている間に実質的なタオルドライにもなっています。
小さくちぎったおやつ:嫌がる子の気を逸らしたり、我慢できたときのごほうびに使います。
柴犬の自宅シャンプー手順
ここからは、先ほどの基本の流れを一つずつ詳しく見ていきます。柴犬はダブルコートで毛が密なため、各工程に少しずつコツが要ります。
① 抜け毛処理・ブラッシング
シャンプー前に、ディシェッダーやブラシでアンダーコート(抜け毛)をしっかり取り除きます。前述のとおり、ここを丁寧にやっておくと、後の乾燥が劇的に楽になります。換毛期は特に念入りに。
② シャンプー・すすぎ
シャワーは、耳に水が入らないように気をつけながらかけます。立ち耳の柴犬は特に注意が必要です。
そして柴犬で最も大切なのがすすぎです。ダブルコートで毛が密なため、シャンプーが毛の奥に残りやすく、すすぎ残しが皮膚トラブルの原因になります。「もう十分かな」と思ってから、もうひと手間すすぐくらいでちょうどいいです。
③ タオルドライ(ここが時短のカギ)
シャンプー後は、バスタオルでしっかり水気を拭き取ります。タオルがびしゃびしゃになる場合は、まだ水分が多い証拠。バスタオル2枚ほどを使って、しっかり拭き取ってください。ここを丁寧にやるだけで、ドライヤーの時間が大きく変わります。
④ ブロー(乾燥)
ブロワーがあれば、ここで一気に時短できます。耳元にはタオルやスヌードを巻いて、温風と音から守ってあげましょう。我慢してくれる子は、これで最後までがんばれることがあります(それでも嫌な子は嫌、というのも正直なところです)。
⚠️ 温風を当ててはいけない場所
目・肛門・陰部などのデリケートゾーンには、直接、高温の温風を当てないでください。嫌がる原因になるだけでなく、温風で目にダメージが入ってしまうこともあります。
乾かし終わりの目安は、毛の根元を触って湿り気が残っていないか。表面が乾いていても根元が湿っていることが多いので、必ず根元を確認します。
柴犬のシャンプーでつまずきやすいポイントと対処法
押さえつけは逆効果
嫌がるからといって力で押さえつけてやると、余計にシャンプーやブローが嫌いになります。これは現場でも本当によく見る失敗です。半乾きは皮膚トラブルの原因になりますが、嫌がる子に完璧を目指して無理やり続けると、トラウマになってさらに嫌がるようになります。「皮膚のために完璧に」と「無理をさせない」は、ときに矛盾します。そのバランスこそが難しいところです。
おやつで「嫌なこと」を少しでも軽く
嫌がる子には、嫌なことをしている最中に小さくちぎったおやつを食べてもらって気を逸らしたり、我慢できたらおやつをあげる、といった工夫が有効です。「嫌なことが少し減って、まあ我慢してもいいかな」と思ってもらえる方向に持っていくのがコツです。
ケージドライは「その子次第」
ケージに入れて乾かすケージドライを行うサロンもあります。本当に抱っこやテーブルが嫌な子には体力的な負担が少なくて済むこともありますが、ケージが嫌いな子には逆効果。その子の様子を見て判断してください。
⚠️ ケージドライの絶対ルール
熱い部屋でのケージドライは熱中症のリスクがあります。必ず涼しい部屋で、水が飲める状態にして、飼い主さんの目が届く範囲で行ってください。放置は絶対にしないこと。
「動画を見たのにうまくいかない」のはなぜ?
最近はYouTubeでシャンプーやブローの解説動画も増えました。とても参考になりますが、動画だけだとお家の子に合ったやり方までは分かりにくいのが正直なところです。犬は一頭ずつ性格も毛質も違います。だからこそ、まずは愛犬と一緒に正しいやり方を体で覚えるのがおすすめです。
柴犬のシャンプーの頻度はどのくらい?
基本のベースは月に1回で十分です。これは抜け毛と皮膚トラブル予防の観点からの目安です。
皮膚が正常な子であれば、2週間に1回のシャンプーでも問題ありません。ただし洗いすぎは皮脂を取りすぎてしまうこともあるため、まずは月1回をベースに考えてください。
シャンプー後は保湿をしてあげることも大切です。
💡 皮膚トラブルがある子は、まず獣医師へ
皮膚トラブルがある子は、必ず獣医師に相談して、シャンプーの頻度やシャンプー剤を確認してください。
また、痒がる原因はさまざまです。シャンプー剤が合っていない場合もあれば、すすぎ残しが原因のことも、ノミやダニのこともあります。「何が原因で痒がっているのか・皮膚トラブルが起きているのか」を見極めることが、正しいケアの第一歩です。
それでも難しいと感じたら:トリミング教室で学ぶという選択肢
ここまで読んで「思ったより大変そう」と感じた方もいるかもしれません。それは自然なことです。柴犬はトリマーでも気をつかう犬種で、自宅シャンプーは決して簡単ではありません。
無理に勧めるつもりはありませんが、こういう選択肢もあります、というご提案です。
嫌がる子に無理をさせると、シャンプー嫌いがどんどん悪化してしまいます。そうなる前に、プロにお願いするか、トリミング教室でその子に合わせたシャンプー・ドライヤーの仕方を学ぶのがおすすめです。
フリージアの教室では、段階的に学べるようになっています。
- グルーミング教室:爪切り・ブラッシング・足の裏の毛の処理・耳掃除など、日常のお手入れからお伝えします。
- シャンプーブロー教室:正しいシャンプーとブローの仕方を、愛犬と一緒に実践しながら学びます。
- グルーミング教室:柴犬の場合カットはありませんが、トイプードルなどの場合カット教室もあります。
「いきなりシャンプーから」ではなく、まずは日常のお手入れに慣れることから始めると、シャンプーもぐっとスムーズになります。愛犬と一緒に、少しずつ進めていきましょう。
よくある質問(FAQ)
- 自宅でシャンプーブローがうまくできませんが、どうすればいいですか?
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半乾きのまま終わってしまったり、嫌がってうまくいかなかった場合は、無理に続けないでください。無理強いはシャンプー嫌いを悪化させます。シャンプーが残っている場合はしっかりと流す必要はあります。次回はプロに任せるか、教室でその子に合ったやり方を学ぶことを検討しましょう。皮膚に異常がある場合は獣医師にご相談ください。
- 柴犬のシャンプーはどのくらいの頻度がいいですか?
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基本は月に1回が目安です。皮膚が正常な子なら2週間に1回でも構いませんが、洗いすぎは皮脂を取りすぎることがあるため、まずは月1回をベースに考えてください。皮膚トラブルがある子は、必ず獣医師に頻度を確認しましょう。シャンプー後は保湿をしましょう。
- シャンプーやドライヤーを嫌がって動いてしまいます。どうしたら?
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押さえつけるのは逆効果です。小さくちぎったおやつで気を逸らしたり、我慢できたらごほうびをあげる工夫が有効です。耳元にスヌードを巻くと温風や音が和らぎます。それでも難しい場合は無理をせず、トリミングサロンやトリミング教室を頼ってください。
- 自宅でやるなら、何から用意すればいいですか?
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まずは安全のために、アームと紐の付いたトリミングテーブルを用意してください。柴犬の体重で飛び降りると骨折や脱臼のリスクがあります。そのうえで、抜け毛処理用のディシェッダー、バスタオル2枚以上、その子に合ったシャンプー剤があると安心です。
- トリミング教室には自分の柴犬を連れて行けますか?
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はい。フリージアのトリミング教室は、ご自身の愛犬と一緒に参加していただく形式です。少人数制で、現役トリマーがその子に合わせて直接お伝えします。柴犬のように個性のある子こそ、一頭ずつに合わせて学べる教室が向いています。
まとめ
柴犬の自宅シャンプーは、抜け毛処理とすすぎ・乾かし方がカギです。そして何より、嫌がる子に無理をさせないこと。完璧を目指して愛犬を苦手にさせてしまうより、できる範囲で続けて、難しいところはプロや教室を頼るほうが、結果的にその子のためになります。無理せず、愛犬との時間として楽しんでください。
トリミングのたびに、記念のお写真を
DOG SALON FREESIAでは、サロンのトリミングでも教室の受講でも、まるで写真館で撮影したようなクオリティのお写真を毎回お撮りし、記念としてお渡ししています。

