犬のトリミングを自分でやる方法|現役トリマーが教える手順・コツ・よくある失敗

こんにちは。世田谷区駒沢のDOG SALON FREESIAでトリマーをしている本間桂子です。トリマー歴は18年になります。

最近、FREESIAのトリミング教室にいらっしゃる飼い主さんから「YouTubeを見て自分でトリミングしてみたんですけど、全然うまくいかなくて…」という声をとてもよく聞くようになりました。

自分で愛犬のトリミングをしてあげたいという気持ちは、すばらしいことです。飼い主さんの手でケアしてもらえるのは、わんちゃんにとっても安心感があります。

ただ、動画や記事だけでは伝わりにくい「力加減」や「手の角度」があるのも事実です。

この記事では、私が教室で実際に初心者の飼い主さんに教えている内容をもとに、自宅トリミングの手順とコツ、そしてよくある失敗とその防ぎ方を正直にお伝えします。


自分でトリミングする前に知っておいてほしいこと

自宅でトリミングを始める前に、まず知っておいてほしいことがあります。

トリミングは大きく分けると「グルーミング」と「カット」の2つに分かれます。グルーミングとは、ブラッシング・爪切り・耳掃除・肛門腺絞り・シャンプーなど、被毛のカット以外のお手入れ全般のこと。カットは、ハサミやバリカンで毛の長さやスタイルを整える作業です。

トリミングサロンではグルーミングコースやカットコースなどの記載があると、シャンプーが含まれているかどうかわからない方も少なくないのですが、グルーミングはシャンプーブローまでで行う工程、カットはシャンプーブロー後に行う工程と分けるとわかりやすいかもしれません。

初心者の方にまずおすすめしたいのは、グルーミングから始めることです。実際にFREESIAの教室でも、いきなりハサミを持つのではなく、爪切りや足裏バリカンから始めてもらっています。

理由はシンプルで、グルーミングのほうが失敗のリスクが低く、わんちゃんを傷つけてしまう可能性が少ないからです。

そしてもうひとつ大切なのが、「最初から完璧を目指さない」ということ。トリマーも最初から上手にできたわけではありません。何十頭、何百頭とこなして少しずつ上達していくものです。「今日は足裏だけ」「今日は爪だけ」と、少しずつ範囲を広げていくのが一番の近道です。


自分でトリミングする前に揃えるべき道具

自宅トリミングに最低限必要な道具をご紹介します。すべてペット用のものを選んでください。人間用のハサミや爪切りは形状がまったく違うので、うまくいかないだけでなくケガの原因になります。

ブラシ(スリッカーブラシ+コーム)

スリッカーブラシは、毛のもつれや毛玉をほどくために使います。教室で初めてスリッカーブラシを握る飼い主さんも力の入れ加減がわからない方が多かったりします。

プロの握り方は「鉛筆を持つように軽く持つ」こと。こうすると自然と力が抜けて、わんちゃんの皮膚を傷つけずにブラッシングできます。力を入れてゴシゴシやってしまうと「ブラシバーン」といって皮膚が赤くなってしまいます。これは教室で実際にお見せすると「そんなに軽くていいんですか!」と驚かれるポイントです。

コームは仕上げに毛の流れを整えるために使います。

爪切り(ギロチンタイプ)

犬用の爪切りにはいくつかタイプがありますが、初心者にはギロチンタイプがおすすめです。ニッパータイプよりも力の加減がしやすく、「パチン」と一発で切れます。

ヤスリは嫌がる子も多いので、愛犬を自分でトリミングする際には無理にする必要はありません。

どうしても爪切りで切った後に痛いのが気になる場合、切った直後にお散歩に行くことで角が取れるので爪が引っかかって痛いという感覚が少なくなるはずなのでオススメです。

あわせて止血剤(クイックストップ)も用意しておくと安心です。万が一深爪してしまっても、止血剤があれば慌てずに対応できます。

止血剤は小麦粉や片栗粉などでも代用が可能です。

バリカン(部分用)

足裏や肛門周りなど、細かい部分のカットにはバリカンが便利です。ハサミよりも安全で、初心者でも比較的扱いやすい道具です。

全身用の大きなバリカンはまだ必要ありません。まずは部分用の小さなバリカンを1本持っておけば十分です。

部分バリカンでオススメなのは、当店も使用しているPanasonicのER803PP-Aというミニバリカンです。

替刃の構造がケガをさせにくい構造になっていて、電池式なので電池交換をすればすぐに刈れるようになります。充電式の場合、いざ使おうとしたら電池が切れていて使えなかったということも発生する可能性がるので、電池式は意外とオススメです。

ハサミ(カットバサミ+すきバサミ)

カットに挑戦する段階になったら、カットバサミとすきバサミの2本を用意しましょう。

ここで注意してほしいのが、安すぎるハサミを買わないことです。切れ味の悪く上手にカットをすることが難しくなります。教室に「ネットで安いハサミを買ったんですがうまく切れなくて…」と相談に来られる方がとても多いです。最初からある程度品質のよいものを選ぶほうが、結果的にうまくいきます。

もちろん、最初から高価なハサミを購入する必要はないので、Amazonなどでレビュー数が多く評価の高いハサミであれば失敗は少ないでしょう。

トリミングテーブル

わざわざ購入をする必要はないかと考える方も多いかもしれませんが、わんちゃんが自由に動ける状態でのトリミングはプロのトリマーでも作業効率が落ちてしまいます。

わんちゃんは高くて動きが制限される状態だとトリミングをやらせてもらえることもあるので、トリミングテーブルは用意しておくことをオススメします。

トリミングサロンのように油圧式の大きく重いトリミングテーブルは必要ないので、折りたたみ式のトリミングテーブルを用意するのがオススメです。

そのほかあると便利なもの

トリミングテーブルが滑るなどする場合は、滑り止めマットはぜひ用意してください。テーブルの上に敷いて、わんちゃんを乗せてトリミングすると格段にやりやすくなります。滑ってわんちゃんが不安になると、暴れてケガにつながります。


部位別|自分でトリミングする手順とコツ

ここからは、部位ごとのトリミング手順を、教室で実際に教えている順番でご紹介します。

足裏カット

自分でトリミングを始めるなら、最初のステップは足裏の毛のカットです。足裏の毛が伸びると肉球が隠れてしまい、フローリングで滑って関節を痛める原因になります。健康管理としても大切なケアです。

部分用バリカンを使います。わんちゃんの足を持ち上げて肉球を確認し、肉球と肉球の間に伸びた毛をバリカンで刈ります。バリカンは肉球の表面から毛先に向かって滑らせるように動かすのがコツです。

教室でよく見る失敗は、「わんちゃんの足を急につかんでしまう」ことです。犬にとって足先は急所なので、いきなりギュッと握ると嫌がって暴れます。肘やスネのあたりを持ち上げてから、滑らせるように足先を持つと、わんちゃんも受け入れてくれやすくなります。

爪切り

爪切りは、飼い主さんが一番「怖い」とおっしゃるケアです。教室でも「血が出たらどうしよう」という不安が最も多い質問です。

ギロチンタイプの爪切りの穴にわんちゃんの爪を通し、少しずつ先端を切っていきます。ポイントは「平行にバツンと切らない」こと。爪の角を削るように、少しずつ角度を変えながらカットしていくと、深爪のリスクがグンと減ります。

白い爪のわんちゃんは、爪を光に透かすとピンク色の部分(血管)が見えるので、そこから2〜3mm手前でストップします。

問題は黒い爪のわんちゃんです。黒い爪は血管が見えないので、少しずつ切り進めて、断面の中央にしっとりした白っぽい部分が見えたらそこでストップ。これが血管に近づいているサインです。

ここが正直に言って「文章だけでは伝えきれない」ポイントです。力加減、角度、切る幅の感覚は、実際に手を動かしながら教わるのが一番早い。教室でも、最初の1回目で感覚をつかめる方がほとんどです。

ブラッシング

ブラッシングは毎日やってあげたいケアです。毛のもつれを防ぎ、皮膚の血行を促進し、抜け毛を取り除きます。

スリッカーブラシで毛先からとかし始め、根元に向かって少しずつほぐしていきます。いきなり根元からブラシを入れると毛が引っ張られて痛がるので、「毛先→中間→根元」の順番が基本です。

教室で飼い主さんにお伝えすると「えっ、そんなに優しくていいんですか?」と言われるのですが、本当に優しくていいんです。ブラシの先端が皮膚に当たっている感覚がギリギリわかる程度の力加減がベストです。

よく毛玉ができやすい場所は、脇の下、耳の後ろ、内もも、お尻まわりです。この4か所は念入りにチェックしてみてください。

シャンプー

自宅でシャンプーをしている飼い主さんは多いと思いますが、教室に来られる方の多くが「すすぎ不足」です。

シャンプーの前にまずブラッシングで毛のもつれを取ります。もつれたままシャンプーすると、毛玉が固まってしまって余計にとれなくなります。

シャンプーを手のひらで泡立ててから身体全体になじませます。洗うときは爪を立てずに指の腹で。

そして一番大事なのがすすぎです。目安は「もう十分だな」と思ってからさらに同じ時間すすぐこと。シャンプーが残ると皮膚トラブルの原因になります。教室でプロのすすぎを見ると、その丁寧さに皆さん驚かれます。

ブロー(ドライヤーで乾かす工程)も重要です。自然乾燥はNGで、根元までしっかり乾かさないと雑菌が繁殖して皮膚炎の原因になります。ドライヤーの温度は「低温」か「中温」で、わんちゃんの体から30cmほど離して当てるのがコツです。

カット

カットは、グルーミングとシャンプーに慣れてからチャレンジするのがおすすめです。ハサミを使うので、動くわんちゃんに対して安全にカットする技術が必要になります。

初心者がまず試すなら、目にかかる毛をすきバサミで整える程度から始めましょう。カットバサミで一気に切ろうとせず、すきバサミで少しずつ量を減らしていくほうが失敗しにくいです。

ハサミの刃先は絶対にわんちゃんの方に向けないでください。ハサミ全体を寝かせるようにして、毛の表面をなでるように切るのが基本です。

顔まわり、足先、お尻まわりなど皮膚が薄い部分は、慣れないうちは無理にカットせず、サロンに任せるのが安全です。


初心者がやりがちな5つの失敗と対処法

教室で実際に飼い主さんからよく聞く失敗パターンを5つご紹介します。

①力加減がわからず皮膚を傷つけてしまう

スリッカーブラシの力加減は、自分の手の甲にブラシを当ててみてください。「ちょっと感じるかな」程度の圧で十分です。痛いと感じる強さは、わんちゃんにとっても痛い強さです。

②爪切りで深爪して出血させてしまう

万が一出血しても、慌てないでください。止血剤(片栗粉or小麦粉)を出血部分に押し当てれば数十秒で止まります。止血剤は事前に必ず用意しておくことをおすすめします。

爪切りは無理をしないことが一番大切です。

③カットの左右がバラバラになる

これはプロでも気をつけるポイントです。片側だけ見て切っていると左右差が出ます。こまめに正面から全体を確認しながらカットしてください。また、一気に短く切るのではなく、長めに残して少しずつ調整するのが失敗を防ぐコツです。

体用バリカンで同じ長さにして、ハサミで揃えていくという方法であれば、バラバラになることは少ないはずです。

④わんちゃんが暴れて作業ができない

無理に押さえつけるのは逆効果です。嫌がったらいったん手を止めて、深呼吸。わんちゃんが落ち着いたら再開します。

教室でお伝えしている裏ワザは、「1回を短く、回数で慣れさせる」こと。「今日は右前足の爪だけ」でもOKです。少しずつトリミングに良いイメージを持ってもらうことが大切です。おやつを使いながらやるのも効果的ですよ。

少しできたらおやつを食べてご褒美の時間にして、また少し進めて少しずつできることを増やしていきましょう。

ご自宅なので、今日は爪切りだけ、今日はブラッシングだけ、今日はシャンプーブローだけなど、1日ごとにやることを分けていくのもオススメです。

⑤シャンプー後に生乾きで終わらせてしまう

表面が乾いていても、毛の根元が湿っていることがよくあります。特に長毛の犬種は要注意です。手で毛をかき分けて根元を触ってみてください。少しでも湿っていたらまだ乾かし足りません。


動画やネットだけでは学びにくいこと

ここまで文章でできる限り詳しくお伝えしてきましたが、正直に言うと、文章や動画だけでは伝えきれないことがあります。

力加減と手の角度。これに尽きます。

ブラシをどれくらいの強さで当てればいいのか。爪をどの角度で切ればいいのか。ハサミをどう動かせばわんちゃんが怖がらないのか。これらは「画面越し」では感覚が伝わりにくい部分です。

教室で指導していて思うのは、ほとんどの飼い主さんが「思ったより優しくて大丈夫なんですね」とおっしゃること。力の入れすぎが大半の失敗の原因です。でもこれは、実際にプロの手元を見て、自分の手で試して、「それでOKですよ」と言ってもらって初めて実感できることなんです。

カットについてもとても奥が深く、その子の毛質、毛量、癖、骨格があるので、同じ犬種だとしても同じカットになるということは難しいです。

もうひとつは、自分のわんちゃんの個性に合わせた対応の仕方です。その子の性格(怖がりなのか、じっとしていられるのか)によって、やり方やコツが変わってきます。ネットの情報はどうしても「一般的なやり方」になりがちですが、実際には100頭いれば100通りのアプローチがあります。


もっと上手になりたい方へ|FREESIAのトリミング教室

この記事を読んで「やってみよう!」と思ってくださった方、ぜひ自宅トリミングにチャレンジしてみてください。

そして、「やってみたけどやっぱり不安」「もっとちゃんと教わりたい」と感じたら、DOG SALON FREESIAのトリミング教室を検討してみてください。

FREESIAのトリミング教室は、東京都世田谷区駒沢にある実際のトリミングサロンで、プロのトリマーから直接学べる教室です。

愛犬と一緒に受講でき、入会金無料・道具レンタル無料。1回完結型なので、「まずは爪切りだけ教わりたい」「シャンプーのすすぎ方を見てもらいたい」といった使い方もできます。定員は4名までの少人数制で、わからないことはその場で質問できます。

この記事に書いた「力加減」「手の角度」「自分のわんちゃんに合わせたやり方」は、教室に1回来ていただければ体感で理解できるようになります。

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